2001年8月下旬、上高地より岳沢に入る。 

午後、陽光に照らし出された、渓谷道を行く。

西穂から奥穂へ続く岩稜帯は、噎せ返るような緑が覆い尽くし、

真夏の生命の饗宴となっていた。

こうして艶やかで透明な享受の時が、誇らしげにその始まりを告げた。