翌日、入山5日目から、天候は悪化。 

3日間、降雪が続き、テント周辺の雪かきに励み続ける。 

入山8日目、この日も朝から雪。撤収を決める。 

5日目から近くに幕営していた四国の大学WV部パーティも、 

先行して下山する。途中ルートが右へ大きく曲がり、

尾根筋を変更する地点で、WVが残した目印用の赤旗を発見。 

注意喚起を促され、正確なルートファインディングを完遂する。 

命の恩人かもしれない部員たちに、ただひたすら感謝。 

且つ自身の事前学習の甘さ、準備不足を思い知る。 

自らの幸運に大幅に依存し、人事を十分に尽くさない山登り、 

その克服の為の努力を、再度自身に誓う。  

  

その後、吹雪は一層烈しさを増し、視界は極度に制限されるが、 

辛うじて判別できる、尾根筋地形を頼りに、 

下山ルートを辿り北沢峠に降り立つ。 

戸台川へと下り、赤河原を行く頃には、 

天候は回復へと向かい始め、鋸岳の支稜と嫦娥岳が、 

冠雪した鮮やかな姿を現わした。