西方の谷間では、この山ならではの混沌の相が出現した。 

大岩山千段刈尾根と中ノ尾根、桧尾根の峰々は、

崩壊著しい岩壁の褶曲模様と共に金色の朝陽に照射され、

渓谷は転変する色とりどりの明と暗に溢れ返った。