人間など一顧だにしない、いや、生き物たちにも極めて冷酷な、無機質の物体で構成される、無慈悲で厳粛な、隔絶した世界、そこにお前は敢えて分け入り、未知の相貌を垣間見た。
誰に見られずとも今この時も、世界の無数の場所で生起し展開し続ける、数限りない表象像のうちの幾許かを。
なかでも冷たく、硬質で、闇を孕む光に溢れた、「極北」の形象たちを。
ならば答えの在りかは明白だ。
予感に導かれた放浪者の、その予感の根拠を見出すこと。
無機的世界と人とを繋ぐであろう本流の、
その紛れもなき実相が、真に了解されたなら、
大いなる肯定は出現する。
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