1987年4月下旬、竹宇駒ケ岳神社より、黒戸尾根を経由して、甲斐駒ケ岳に登る。

この長大なルートを積雪期に辿るのは初めての為、より強い緊張感が心身を引き締める。

五合目に一泊して、翌日、曇天下を、山頂目指して進む。

午後も遅くなって、ようやく頂上に到着した時には、辺りは霧で完全に閉ざされていた。

岩陰にテントを設営し、待機状態に入る。

こうして山頂での、たった一人の生活が始まった。