その日の内に、阿弥陀岳山頂を目指す。

P2付近から眺望する赤岳は、その巨獣の様な躯体が、凶暴なまでの原初性を放ちはするものの、完全に晴れ切った空の紺碧を背景にして、積雪の白と岩峰の黒とが層を為して、面状に、或いは線状に展開し、清冽な山容を構成する。

そしてこの三様の色彩の間の強烈なコントラストと均衡とが、風景全体に適度の緊張感と統一感をもたらし、そこに一つの整いの美を生み出す。